前回の記事では、AIを使える社員と使えない社員を作るのではなく、AIの側に役割を与え、人と協働する「AI社員」という考え方について紹介しました。
では、実際にAI社員を会社に迎えると、何が変わるのでしょうか。
仕事がすべて自動化されるのでしょうか。社員が減るのでしょうか。人がやっていた仕事を、そのままAIに置き換えるのでしょうか。
私たちが考えるAI社員の導入は、そのどれとも少し違います。
変わるのは、「誰がAIを使うか」ではなく、「会社の中で誰が何を担当するか」です。
これまでのAIは、人が動かすものだった
一般的な生成AIの利用では、まず人が動きます。
調べたいことがあればAIに質問する。文章が必要ならAIに作成を依頼する。資料を要約したければファイルを渡す。データを分析したければ、分析してほしい内容を指示する。
AIは非常に便利ですが、基本的には人からの指示を待っています。
つまり、AIを導入しても、
「AIに仕事をさせる仕事」
が人の側に残ります。
何を頼むか考える。必要な情報を探す。AIに渡す。結果を確認する。必要ならもう一度指示する。
AIによって作業時間は短くなっても、その仕事を動かしているのは依然として人です。
AI社員には「担当」がある
AI社員では、考え方が変わります。
例えば、毎朝売上を確認する仕事があるとします。
これまでなら担当者がシステムを開き、数字を確認し、前日や前年と比較し、気になる点を探します。
生成AIを使う場合でも、担当者がデータを用意してAIに分析を依頼することになるでしょう。
AI社員の場合は、
「毎日売上を確認し、変化があれば報告する」
こと自体を役割として持たせます。
売上分析を担当するAI社員なら、毎日必要なデータを確認する。通常と違う動きがあれば、その理由を調べる。必要な情報を整理する。そして人に報告する。
人が毎朝「今日の売上を分析して」と指示する必要はありません。
それが、そのAI社員の仕事だからです。
人が「見に行く仕事」が減っていく
会社には、実は「情報を見に行く仕事」がたくさんあります。
売上を確認する。メールを確認する。問い合わせを確認する。在庫を確認する。勤怠を確認する。案件の進捗を確認する。会議の予定を確認する。
各システムに情報は入っています。
しかし、情報がそこにあるだけでは仕事になりません。
誰かが見に行き、
「何か起きていないか」
を確認しています。
AI社員が担当を持つと、この部分が変わります。
人が情報を探しに行くのではなく、担当するAI社員が情報を確認し、必要なことを人へ持ってくる。
これは単なる作業時間の短縮とは少し違います。
仕事の流れそのものが変わります。
「質問するAI」から「報告してくるAI」へ
生成AIというと、チャット画面を思い浮かべる人が多いと思います。
人が質問を書く。AIが回答する。また人が質問する。
もちろんAI社員にも相談できます。
しかし、AI社員の役割はチャットの中だけではありません。
例えば営業を担当するAI社員なら、
「今月、商談数が先月より減っています」
と報告する。
人事を担当するAI社員なら、
「今月、残業時間が増えている部署があります」
と知らせる。
ナレッジを担当するAI社員なら、
「新しい資料が追加されましたが、既存の社内ルールと内容が異なっています」
と確認を求める。
人が質問する前に、担当する仕事の中で必要なことを知らせる。
AIを開いて質問する会社から、AI社員から報告を受ける会社へ。
これも大きな変化です。
では、人は何をするのか
ここで、
「それなら人の仕事がなくなるのではないか」
と思うかもしれません。
しかし、AI社員が情報を確認できることと、その情報をもとに会社として判断することは同じではありません。
例えば、
売上が落ちている。
AI社員はその事実を見つけ、関連するデータを集め、考えられる原因を整理することができます。
しかし、
値下げするのか。商品を変えるのか。広告を増やすのか。営業体制を変えるのか。何もしないのか。
最終的に何を選ぶかは、会社の判断です。
そこには、数字だけでは分からない事情もあります。
顧客との関係。現場の状況。会社の方針。これまでの経験。将来どういう会社にしたいのか。
AI社員が増えるほど、人に求められるのは「情報を探すこと」ではなく、情報をもとに考え、判断することになっていきます。
人の仕事をAIに置き換えることが目的ではない
AI導入の話になると、
「何人分の仕事を削減できるか」
という話になりがちです。
もちろん、AIによって不要になる作業はあります。
しかし、それだけを目的にすると、AI導入は「人を減らすための仕組み」になってしまいます。
私たちがAI社員で目指しているのは、そこではありません。
人が毎日やっている仕事の中には、
本当に人がやるべき仕事と、
仕組みとして誰かが担当すればよい仕事が混ざっています。
情報を探す。数字を確認する。内容を整理する。変化を見つける。必要な人に知らせる。
こうした仕事をAI社員が担当する。
その分、人は、
考える。決める。人と話す。新しいものを作る。責任を持つ。
そうした仕事に時間を使えるようにする。
AI社員を導入する目的は、人を減らすことではなく、人が担う仕事を変えることです。
AI社員が増えると「組織」になる
AI社員が一人だけなら、便利なAIアシスタントと大きな違いを感じないかもしれません。
しかし、
売上を見るAI社員。営業を見るAI社員。人事を見るAI社員。社内ナレッジを管理するAI社員。契約書を確認するAI社員。
それぞれが役割を持ち始めると、AIは単体のツールではなくなります。
そこには、
誰が何を担当するのか。どの情報を見ることができるのか。どこまでAIが判断してよいのか。どこから人の承認が必要なのか。AI社員同士がどのように連携するのか。
という「組織としてのルール」が必要になります。
これは、人間の会社とよく似ています。
社員を採用するとき、パソコンだけ渡して、
「自由に仕事してください」
とは言いません。
所属する部署があります。担当があります。権限があります。上司や同僚がいます。会社のルールがあります。
AI社員も同じです。
CODATIがつくろうとしているもの
CODATIは、AIとチャットするためだけのサービスではありません。
AI社員に役割を持たせ、
社内ナレッジや業務データにつなぎ、
それぞれの担当業務を持たせ、
人とAIが同じ会社の中で働ける状態をつくる。
そのための企業向けAIプラットフォームです。
AI社員が増えていけば、
「どのAIを使えばいいのか」
を社員一人ひとりが考える必要もなくなっていきます。
営業のことなら営業を担当するAI社員。人事のことなら人事を担当するAI社員。会社の情報ならナレッジを担当するAI社員。
人間の会社で、
「この仕事は誰に聞けばいいのか」
が決まっているのと同じです。
AIを会社に導入する。
それは、AIというツールを社員に配ることではありません。
会社の仕事そのものを、人とAIであらためて分担すること。
それが、AI社員を会社に迎えるということだと私たちは考えています。
次回:AI活用が進まない原因は、社員ではなく経営側にあるのか
生成AIを導入しても、会社全体ではなかなか活用が進まない。その原因は、本当に社員側だけにあるのでしょうか。
次回は、経営層のAI活用と会社の推進体制について考えます。
企画・監修:株式会社TOKIWAGI
